武田知弘『ナチスの発明』

 タイトルからして興味をそそられる本です。ジェット戦闘機、V2ロケットなどは有名ですが、それ以外にも現在でも使われている技術の数々がナチス(正確にはナチスが支配した時代のドイツ)で開発されていたとは、驚きました。科学技術の分野だけでなく、社会制度での先見性にはそれ以上に驚きました。源泉徴収、扶養控除、アスベスト対策、合成着色料の禁止etc。ナチスと言えばホロコーストなどの悪いイメージしか無かったけど、あのような残虐な行為の裏で、こんな事もやっていたのか!と驚きの連続でした。ナチス時代の政策を評価するドイツ人(特に実際にその時代を経験した世代に多いらしい)がいるとは知っていましたが、なるほど、こんな事してたらそりゃ〜良かったと思う人もおるわ。
 帯の下の方に小さい文字で「本書はあくまで中立的な見地で書かれた本です。いたずらに軍国主義全体主義を煽るものではありません。」と書いてあるのには笑った。確かに本の表紙だけ見たら勘違いされるだろうな。

ナチスの発明

ナチスの発明