荒木和博『日本が拉致問題を解決できない本当の理由』

 特定失踪者問題調査会の代表、荒木和博氏の著書。主に小泉訪朝からの出来事を中心に、拉致の定義、拉致問題が起きた背景、それを解決できない理由がよく分かる内容。未だに日本政府は「被害者を取り戻す』とは言わないのはなぜか?ずっと疑問に思っていたのだが、そのモヤモヤが晴れました。
 いろいろ問題があるにせよ、クリントン元大統領が訪朝し”人質”を取り戻したり、韓国の現代グループの会長が北に乗り込んで拘束されていた同社の社員を取り戻しに行ったことに比べたら、なんとも情けないのが私たちの政府です。
 拉致された被害者の認定までも消極的。拉致問題対策本部はろくな活動をしていない。挙げ句の果てには、拉致された可能性があるケースを普通の失踪事件としてしまおうと工作するケースまで、ここまでくると政府はやる気が無い、といよりも拉致問題を隠蔽しようとしているのではないかとさえ思えてくる。戦後の日本の”事なかれ主義”が生んだのが拉致事件だと思う。拉致をした北朝鮮が悪いのは当然として、拉致が発生している事を知りながら何もしない日本政府にもかなりの原因と責任があるのではないかと思う。自分たちにも責任があるから、うやむやにしてしまいたい。そう思えてならない。

日本が拉致問題を解決できない本当の理由

日本が拉致問題を解決できない本当の理由