「紫禁城の黄昏」

R.F.ジョンストン著、中山理訳の完訳「紫禁城の黄昏」。やっと読み終えた。11月に買った本なんだけど、分厚くてしかも内容も濃いので、なかなか読めなかった。
何故、この本を読もうと思ったのか。映画『ラスト・エンペラー』の原作にもなったこの本の日本でたどった運命に興味を引かれたからだ。監修をされている渡部昇一氏が著書でも書かれているが、「岩波文庫」から出版された「紫禁城の黄昏」は半分近くがカットされている。主に映画では描かれていない部分であるが、意図的にカットされたと見るべきであると。
最近はあっち系の方の本を読んでいるので、つい興味を持った次第。別に映画の『ラスト・エンペラー』に興味があった訳ではない。「岩波文庫」版でカットされた章は、それ程ショッキングでは無かった。なる程、そうなのか、と納得できる内容。
紫禁城の黄昏―完訳 (上)紫禁城の黄昏―完訳 (下)
この本に興味をもった過程はさておき、内容的には大満足。以前読んだ、「白州次郎 占領を背負った男」は、NHKのドキュメンタリーみたいな本で(判りにくい比喩ですいません。入門編としては素晴らしいけど、もっと深く掘り下げて欲しいと思う事が多いんで。)、物足りなさがあったけど、この本はその点読み応えがある。細かい所まで理解するには、もう一回くらいは読み返さないとダメなんだろうな。支那王朝の慣習とか政治的な背景とか、興味深い内容。人物関係も複雑。そりゃ〜激動期の中国の政治の世界だものな。